デリバリー/テイクアウトのメニューを考えよう

監修:管理栄養士 神田一氏

トマトパスタ

2019年10月の消費税改定、新型コロナウイルスの影響で、デリバリーやテイクアウトに参入する飲食店が増えています。 従来はデリバリーサービスの準備は、ハードルが高いものでした。 しかし近年では、初期導入がしやすいフードデリバリーサービスが増えてきております。また、新型コロナウイルスによる消費者の意識変化で、テイクアウトの個人店舗でも参入も増えています。
今回は「デリバリーやテイクアウトサービスを始めたい」というみなさまのために、容器とメニュー作りに関する提案をまとめました。みなさまの、新たな挑戦のお力になれば幸いです。

フードデリバリーサービスを始めるためには、重要なポイントは二つの記事を作成しました。

 テイクアウトを始めよう デリバリーのメリット、デメリット、美味しい料理を、お客様に確実にお届けする、容器の話など
今開いているのはこちらテイクアウトメニューのコツ ターゲットを見据えて、売上げアップを図る、魅力的なメニュー作りなど

※記事中の内容は、様々なデリバリーやテイクアウトのシーンで活用できるように考慮した内容を心がけていますが、デリバリーのサービス内容やテイクアウトの特性は料理ごとに異なります。実際のサービス会社の仕組みや、料理ごとの安全性にはご注意をお願いいたします。

デリバリー、テイクアウト向けの新メニューを考えよう

特にデリバリーでは、お店に来るお客様と顧客層が違う場合があります。客層がずれていることがわかる場合は、その客層に向けたメニューを考えるのも一つの手です。
デリバリー、テイクアウトを始める際や、売れ行きが上がらないときは、お客様を分析し専用メニューを検討してみましょう。

ターゲットを決めて売り方を考えよう

ターゲット層

どのビジネスでも売上を狙う際には、ターゲットの設定が不可欠です。 デリバリーであればお店の近くの住民属性、テイクアウトであれば店の前の人通りの特徴を必ずチェックしましょう。
ビジネス街であれば、ランチタイムはターゲットになるでしょう。高級タワーマンションや高級住宅街がある地域であれば、富裕層をターゲットにできます。一般の住宅街が多い地域ではファミリー層を狙ったほうが良いでしょう。通勤の通り道であれば、通勤時間にお昼ごはんのお弁当販売という手も考えられます。
一生懸命美味しいメニューを考えるのであれば、ただ美味しいメニューを作るよりも、ターゲットを絞り、その層を狙ったメニューのほうが成功率は上がります。
ただし、ターゲットからメニューを考える際、現在提供しているメニューから大きくぶれないようにしましょう。現在のお店が支持されているからこそお店が存続しているので、すでにあるメニューはターゲットにマッチしています。店と同じメニューとターゲットがマッチする売り方を探し、新メニューを考える際も、既存の食材を使い回せるメニューを提供することから始めたほうが無難です。

ターゲット「富裕層」向けの健康メニュー

サラダ

デリバリーサービスは、配送料金、サービス管理会社向けの手数料が上乗せされます。こういったサービスを普段使いが可能なのは、富裕層に属する方になります。
デリバリーサービスを普段使いする富裕層の方は、高級な料理よりも、食事の準備と片付けの時間と栄養バランスのとれた健康を買っている方が多いと予想されます。外にでかける手間を省略し、やりたいことを行う時間を作るのに、フードデリバリーサービスはうってつけです。原価率が上がっても野菜を豊富に使い、栄養バランスが取れた健康志向のメニューや、カロリーの少ないダイエットメニューを、用意するとよいかもしれません。

管理栄養士からのアドバイス!「脂」と「糖」が少ないヘルシーメニューを

健康を意識したメニューは「動物性脂」と「糖質」がキーワードです。油の多い食材や調理方法、糖質の多い食材を避けるのが基本になります。
脂の多い食材には、脂身の多い肉や魚、鶏皮があります。調理方法では、揚げ物や炒め物には脂分が多くなりがちですね。 糖質は、米・小麦(ご飯ものや麺類、小麦粉)、イモ類(こんにゃく以外)、そして砂糖に多く含まれています。
脂身の少ない肉を塩焼きにしたり、カレーや黒コショウなどのスパイスを利かせたグリルにしたりというシンプルな料理は、デリバリー向けの健康メニューと言えるでしょう。 野菜類の中でも、ニンジンやカボチャなどの甘味がある野菜は糖質が多く含まれている傾向にあります。代わりに葉物野菜を増やすことで、低糖質の健康メニューになります。

ターゲット「面倒な時のファミリー」メニュー

ハンバーグプレート

どのような家庭でも、「今日は、料理をするのも、食べに行くのも面倒」という日があります。そんなとき、帰りがけに買えるテイクアウトや、デリバリーはうってつけ。大人から子供まで喜ぶバリエーションがあると、家族向け注文から選ばれやすくなりそうです。 レストランのお子様ランチのように、手間がかかるお子様メニューを用意し、親御様の料理で利益を取るという考え方もありかもしれません。

外食だと、車で移動をすると運転手の人はどうしてもお酒が飲めませんが、デリバリー、テイクアウトならお酒を飲むことも可能です。 飲み会でのハンドルキーパーや、運転で疲れた親御さんを労う「おうちおつまみ」を意識してみましょう。
帰ってきたときに注文をしたくなるような、お父さんお疲れ様メニューがあるとよいかもしれません。

管理栄養士からのアドバイス!ファミリー向けには、栄養バランスを意識して

家族向けのメニューには、ボリュームと栄養のバランスが求められるでしょう。肉や魚を使ったメインの料理のほかに、野菜を使った副菜(小鉢)のようなメニューが一緒に頼めるといいですね。 あるいは、肉も野菜も入っている大皿料理(グリル、炒め物、煮物、スープやシチューなど)もおすすめです。
ご家庭内で召し上がることを想定して、電子レンジで温められることを前提にメニューや容器を考えましょう。

管理栄養士からのアドバイス!単身や夫婦の「おうちおつまみ」は、少しずつの盛り合わせが魅力的!

外出先でお酒が飲めなかった方向けには、家庭で作るのは少し手間がかかる揚げ物や串焼き、時間がかかる煮込みなどが、ぜひ欲しいメニューです。 「1~2人前の盛り合わせセット」があると、ちょっと豪華な晩酌になりますね!
あれもこれも、ちょっとずつ食べられるメニューは、デリバリーサービスならではの魅力になるはずです。

ターゲット「パーティー」や友人が集まるシーン

パーティーメニュー

友人が集まったときのパーティーメニューがあるとよいですね。 インスタ映えを狙って、超大盛やオードブル容器を使うなど、目で見て違いがわかるメニューにすることや、ロシアンたこ焼きのようなゲームメニューはどうでしょう。宅配ピザを頼みたくなるシーンをイメージすると良いと思います。また、予約限定にして、ロスを減らすのも良いと思います。
オードブル容器はこちらで紹介しています。

管理栄養士からのアドバイス!料理の見た目は「補色」を意識して!

デリバリーサービスは、ホームパーティーやお花見など、お友達同士で集まった時にも使いたくなりますね。 大勢で食べられるボリュームも大事ですが、見た目の「映え」も忘れてはいけません! おいしそうな料理をSNSでアップするのも、パーティーの楽しみのひとつです。
料理の彩りは、赤・黄色・緑・白を上手に使うのがポイント!
緑の野菜や海藻サラダには、トマトやニンジンの赤、パプリカの赤・黄色を合わせましょう。 「補色」の関係にある緑と赤は、お互いを鮮やかに目立たせる効果があります。 チーズやマヨネーズの白も、これらの色と組み合わせると全体を明るくしてくれます。
グリル料理や醤油の茶色には、補色に近い濃い緑や、コントラストになる白を組み合わせましょう。
洋風の料理ならサラダ菜やサニーレタス、和風の料理ならシソの葉や刻んだネギを合わせるだけで、グッと「映える」料理になりますよ!
色を味方につけよう!という記事もあるので、参考にしてください。

補色を利用した盛り付け

ターゲット「会社の差し入れ」メニュー

サンドイッチ

パーティーメニューに近いですが、差し入れを意識したメニューはどうでしょう?
会議中に10人に差し入れとなると、「嫌いな人がいない」「手にもっていつでも食べられる」「多少のバリエーションがある」などの条件が満たされた食べ物を提供してみるのはいかがでしょう?タピオカドリンクなども差し入れに使われているようです。

管理栄養士からのアドバイス!差し入れメニューは「ちょっとつまめる」がキーワード

忙しい時期、残業の時に「小腹がすいたし、デリバリーでも頼もう」ということは多いはず。頑張る人たちへの差し入れには、仕事のエネルギーになる軽食が人気です。
しっかりした食事よりも、サンドイッチやおにぎりなど「ちょっとつまめる食事」の方が、仕事のリズムを崩さずにエネルギー補給ができるでしょう。 炭水化物だけではなく、一口サイズの唐揚げや野菜スティックなど、ちょっとしたおかずもあると、さらに元気が出そうですね!

ターゲット一人暮らしのお客様向け、「風邪」を引いたときの緊急メニュー

ポトフ

一人暮らしをしたことがある人は、風邪のときに、消化に良いご飯を調達できず困ったことがあるのではないでしょうか?
出前は普通一人前では頼めませんが、配送料を取るデリバリーサービスなら、値段の制限なく注文することができます。そんなときに、ショウガなど、風邪に良いメニューがたっぷり入った病人食のような消化に良い安心メニューを用意するとよいかもしれません。新型コロナウイルスの影響で、デリバリーサービスでは配達員との接触を避けるよう、置き配なども可能になっているようです。

管理栄養士からのアドバイス!一人暮らしのお客様に、体も心も温まるメニューを!

体調がすぐれないときは、自分で料理を作ったり、外食をしたりというのは大変なものです。
しかし、とりあえず何か食べないと……という時にも、デリバリーは便利ですよね。 体が温まって、ホッとするようなメニューを見つけると、つい頼みたくなるお客さんもいるでしょう。
けんちん汁やポトフのような具沢山のスープは、胃にやさしく栄養もしっかり取れるので、風邪の時などに嬉しいメニューです。 体を温める、きざみネギやおろしショウガ、マスタードなどが小さな容器についていると、さらに魅力的なメニューになるでしょう。

ターゲット「忙しい人」向けのお手軽メニュー

自宅だけで完結するデリバリーなら、とにかく忙しい人の食事にも利用されそうです。
サンドイッチやおにぎりなど、片手で食べられ、たれがつかず汚れにくい食品などは、本当に忙しいときはとてもありがたいです。

管理栄養士からのアドバイス!手が汚れないメニューは、様々なシーンで活躍
親子丼

忙しい仕事や作業の合間、自分で食事を作るのは面倒だし、外食のために出かけるのも時間がもったいない!そんな時にも、デリバリーサービスは強い味方です。
さっと食事を終えて作業に戻れるメニューや、作業をしながらでも手が汚れないメニューが喜ばれるでしょう。 肉や野菜が一度に取れる丼物や、混ぜご飯のおにぎりなどは作業の邪魔になりにくく、栄養もしっかり摂れる優秀なメニューです!

ターゲット「キッチンの空き時間を活用」できるメニュー

ターゲットを絞るだけでなく、お店の利益から考えるのも有効です。昼、夜など、混雑時間は忙しい料理店は、デリバリーやテイクアウトの注文が多く入ってきても、パンクをしてしまいます。 インスタ映えするような、パーティーメニューや、超大盛メニューを、デリバリーやテイクアウトは専門にしてしまい「予約専用」とするのはどうでしょうか。忙しい時間をさけて準備を行えれば、利益への貢献は大きいです。

管理栄養士からのアドバイス!お店のメニューをアレンジするだけで、魅力的なメニューに
混ぜご飯

スキマ時間に仕込みを行うメニューは、それだけのために仕入れをするのは難しいもの。そんな時は、普段の食材を組み合わせた料理がオススメです!
葉物野菜のサラダと肉や魚、エビなどの組み合わせは、見た目もボリュームも満足の一品です。組み合わせを変えれば、メニューの幅も広がります。 大胆に和風アレンジした「焼き鳥とプチトマトと水菜のサラダ」など、アレンジは自由自在。 ちょっと変化球でも、パーティー向けなどの需要があるのではないでしょうか。
サラダのほかにも「混ぜご飯」や「具だくさんスープ」などは、いつもの材料でアレンジメニューを作りやすいですね。

ターゲット「隙間ジャンル」

誰もが欲しいものというのは、どこでも買えるので、どうしても競争が激しくなります。 しかし地域に一店舗しかなければ、そのお店から頼むしかありません。 競争は少なく、需要は大きいジャンルが見つけたときはチャンスです。
以下に例をあげておきます。競争の少なく提供できる分野がないか、食に絡んだニュースをチェックしましょう。

  • タンパク質重視の筋トレメニュー
  • 低糖質食品メニュー
  • 菜食主義者向けの野菜オンリーメニュー
  • アレルギー対策メニュー

デリバリー、テイクアウトのその他ノウハウ

管理栄養士からのアドバイス!「温かいものと、冷たいものの同時注文に注意」

料理と飲み物など、温かいものと冷たいものが同時に注文されることも多いでしょう。 これらを同じ袋に普通に入れてしまうと、冷たいものは温かくなり、温かいものは冷めてしまい、味は落ちてしまいます。 梱包に気を使い、熱いものか冷たいもののどちらかを断熱性の高い容器に入れると、熱さや冷たさが外に逃げず、外の温度にも影響されにくくなります。メニューなどによりますが、しきりなどを用意するのも手かもしれません。熱は上に向かう性質があるので、冷たいものを上に置かないなどの工夫をするのもオススメです。

管理栄養士からのアドバイス!「デリバリー、テイクアウト専用の食材も検討しましょう」

お米

デリバリー、テイクアウト用に食材を仕入れることができれば、さらにクオリティを上げることができるでしょう。 たとえば麺類の場合、時間を置くと麺が伸びてしまうのが気になりますよね。
お店で提供するものと別の、伸びにくい麺をデリバリー用に仕入れることができれば、競合店に差をつけることができるでしょう。
ご飯の場合は、冷めた時に固くなるのが気になることがあります。 電子レンジで温め直すのが難しい行楽用のデリバリーが多いなら、冷めても固くならない工夫をしたいですね。 固くなりにくい品種のお米では「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」「夢ごこち」などが知られています。デリバリーが多いなら、導入してみるのも手でしょう。
また、ご飯を炊く際、お米10合に対して大さじ3倍程度のはちみつを入れて炊く方法もあります。保水力が高まり、冷めても固くなりにくいご飯に仕上がります。ほんの少し入れるだけなので、はちみつの香りや甘さはほとんど気になりません。 ちなみに、はちみつは肉の下ごしらえに使うのもオススメです。焼いた時に肉から水分が抜けて、固くなるのを防いでくれます。ローストチキンや豚の生姜焼きなどが、冷めてもしっとり柔らかくなりますよ!

見た目にもこだわりましょう

容器の見た目にこだわるのも、リピーターを得るために役立ちます。 お客様が最初に見るのは、デリバリーなら、サービスのサイトに掲載される写真、テイクアウトなら店頭の写真や、並べてある料理となります。 サイトの写真が綺麗で、実際に届く商品と同じくらい綺麗なら、お客様からも信頼され、リピーターになってくださることも多いはずです。
テイクアウトは、「手作り」などのコメント入りのシールなどを使えば、商品にメッセージを込めることができるので、購入してくれる可能性も高まります。

デリバリーは配達パートナーを大事にしましょう

配送パートナー

デリバリーの配達員は、自分の会社の部下などではなく、パートナーです。お互いに敬意を持った取引関係と思って対応しましょう。
配達員もやりやすいお店を優先すると思います。常連配達員と仲良くなれば、混雑時にも優先して配達してくれ、売り上げアップに貢献してくれるかもしれません。
何も特別なことをする必要はありません。 確実に届けて当たり前と思わず、可能な限り梱包をしっかり行い、梱包が難しいときに、新聞紙などを用意しておくなど、柔軟に対応できるようにしておく、気遣いを可能な範囲で行いましょう
地域ならではの情報は、地元でしか集めることができません。現場の生の声は、さらなる売り上げアップのヒントになると思います。
顔なじみになったら、暑い日にはドリンク、寒い日には温かいスープを提供するなどし、話を聞いてみてもよいかもしれません。 店の周辺にはどのようなお客様が注文をしてくれているのか、自店舗のメニューがそう言ったお客様を逃していないかなどを確認してみましょう。 新たなターゲットを見つけられるかもしれません。
販促シールも探してみましょう

リスパック様「始めよう!テイクアウト」盛付けレシピ動画

【メニュー:丼もの】
 カツ丼・中華丼・餡かけチャーハンなど
【使用容器】
 テイク丼 150・170・190本体 黒、蓋
 ※動画の長さ:約1分24秒

【メニュー:冷し麺】
 冷し担々麺
(冷し天ぷらうどん・冷しとろろ蕎麦)
【使用容器】
 クリーンボール M大 深 本体・M大 60 本体
 ※動画の長さ:約3分50秒

【メニュー:お弁当】
 洋風ハンバーグクリームコロッケ弁当
(中華スタミナ弁当・カフェ風スパイシーチキン弁当)
【使用容器】
 バイオデリカ やすらぎ・シェルBOX
 ※動画の長さ:約4分20秒

 

【メニュー:カレー】
 ビーフカレー
(夏野菜カツカレー・カレーパスタ)
【使用容器】
 つけ麺 本体
 ※動画の長さ:約3分5秒

【メニュー:麺・丼もの】
 ラーメン・かき揚げうどん・天丼・長崎皿うどん・中華定食
【使用容器】
 麺丼 本体 黒
 ※動画の長さ:約3分14秒

監修:管理栄養士 神田一氏
プロフィール
病院や福祉施設の管理栄養士として、味と価格を両立させる改善活動に定評あり。
その経験を活かし、食や趣味の分野でフリーライターとしてマルチな執筆活動を行う。
著書に「ポイントはたったの3つ! マンガでわかる妊娠中のレシピ」など

デリバリーのメリット、デメリット、美味しい料理を、お客様に確実にお届けする、容器の話などはこちらテイクアウトを始めよう